クラカン前に知っておきたいスタジアム問題の現状と今後

By   2015年12月2日

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12月5日にクラブカンファレンスが行われる。スタジアム問題は毎回重要テーマのひとつだ。この2年間、新規のサポーターも増えつつあるなか、BMW Shonanスタジアム平塚(以下、平塚競技場)の改修への取り組みは本HPに公表してるものの、わかりにくい点もあることからこれまでの現状を整理し、今後に向けた意見をさせて頂くことで、議論を活発化し改修及び専用スタジアム建設に向けた動きが加速化することを期待したい。

平塚競技場が抱える問題点とは?

湘南サポーターにとって老朽化したスタジアムは既にご存知だし、それぞれ感じる課題は様々であるが大きくわけると3点につきると思う。

問題点

  1. 将来J1ライセンスが下りない可能性がある
  2. 観戦しにくさ、臨場感の欠如
  3. 収容人数、クラブ収益の限界

以下に問題点を掘り下げていく。

問題1. J1ライセンスが下りない可能性

 クラブライセンス制度の説明はご存知かと思うので説明は割愛するがJ1基準の必須要件は15,000人の収容だ。現在のスタジアム収容スペックは15,100人とギリギリであり、しかも立ち見席のゴール裏は二列での換算となる。しかも今年最も観客動員数が多かった4月12日FC東京戦では14,581人だ。つまり実質満員で通路にも人が溢れ座れる場所もない程の環境にも関わらず必須要件である15,000人を満たせないのが現状だ。これではJリーグに厳しく審査された場合、J1ライセンスを剥奪されかねないだけでなく、満員に近い状態で災害が起きた時の身動きがとれない危険な環境とも言える。
さらに、その他の必須要件であるトイレについては改修され照明施設にも予算がついているが、将来的に必須要件になるであろう「座席数の1/3以上を屋根で覆う(B等級)」については見通しが立っていない。
参考 Jリーグライセンス交付規則
http://www.jleague.jp/docs/aboutj/clublicense2014_01.pdf

問題2. 観戦しにくさ、臨場感の欠如

平塚競技場はサッカーファンの間でも観戦しにくいスタジアムとして有名だ。特にゴール裏(立見席)からは非常に見づらい。アウェーにもよく通う他サポの友人からも平塚競技場は見にくいから行かない、と言われた事は少なくない。向こう側で何が起きてるのかわからずゴールシーンでさえよくわからないこともある。また、メイン、バックスタンドとゴール裏が分断された構造もありゴール裏からの盛り上がりが浸透しにくい。

また、前述の屋根にも関連するが、雨天の場合、ゴール裏にはコンコースもなくスタジアム内に退避場所がない。2014年の夏の試合だったが試合終了直後、激しい雷を伴うゲリラ豪雨に見舞われた。平塚総合公園は高い木が多く落雷しやすい。「お客様だけでなくスタッフ、係員も公園に出ないで屋根の下に急いで避難して下さい!」とアナウンスが流れ一時騒然とした。30分程で雷や雨は止んだものの、もし試合中であったら避難する場所もなく混乱に陥っていただろう。

さらに、バリアフリー化も遅れている。車椅子での観戦エリアはわずかでスタンドと隔離されている。ベビーカーを持ち込んでの観戦は入場時に階段が伴いエレベーターもないため非常に困難だ。少し話はそれるが、平塚総合公園は動物園や噴水もあり、遊具も豊富で小さな子供を連れてのレジャー施設としては最適な公園だ。ベビーカー連れの家族でも観戦しやすい環境であれば、より一層新規の顧客を囲い込めるだろう。

問題3. 収容人数、そしてクラブ収益の限界

 2015年の湘南ベルマーレは見ていてもワクワクするサッカーで今年は特に多くのメディアにも取り上げられた。平均入場者数は同じJ1だった2013年の9,921人、2014年はJ2に降格したが8,471人を記録し2015年は過去最多の12,211人となっている。1万4千人を超えた試合が6試合も平日開催の7月の柏戦でも1万人を超えた(ナビスコ杯を除く)。
 一見、成功しているように思える。しかし、逆に言えば入場者数が頭打ちに近い状態となっている。Jリーグクラブの収益源は広告収入と入場料収入がメインだ(その他の収入源はグッズ収入、Jリーグからの分配金など)。
 今年の営業収入は13億円をクラブは目標にしており、5年後にはJ1で定着するために18億円規模の中期目標を掲げているが、J1の平均予算は30億円と言われ、その規模での定着は困難だ。
 2年連続で胸スポンサーも開幕から埋まり新規の広告も増えつつある。とはいえ、広告は景気に左右されるため、広告だけでは大きくなれない。入場者収益を増やすことためには、より大きく規模に見合った箱でなければ安定的な成長は見込めない状況である。

署名活動に対する平塚市の答え

  スタジアム改善を求め湘南ベルマーレサポーターズ協議会は2013シーズンから2014シーズン5月まで署名活動を実施。競技場に来られたアウェーサポーターにも協力頂き3万4011人の署名を頂き2014年6月に平塚市長へ提出された。
【参考:湘南ジャーナルより】3万4000人分の想いを市長へ 湘南サポ、競技場改修を要望
http://www.shonan-journal.com/archives/12662

それをうけ平塚市では改修に関わる調査費100万円を計上し、全6回の改善検討会を実施。
下記に報告書を掲載しているので要点をあげていきたい。
http://dream-shonan.info/?p=362

主な要点としては改修な向け2つの方法が提示された。
方法1. 全面的な改修

  • 20,000席で全席椅子席
  • 全席屋根で覆う
  • J基準を全て満たす諸室
  • 費用としておよそ130億円

方法1のスタジアムイメージ

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方法2. 必要最低限の改修

  • 16,000〜17,000席程度
  • 屋根は1/3程度以上(JライセンスB基準)
  • ゴール裏は立ち見席(2017年ACL基準を満たさない)
  • バックスタンドモニュメントを撤去し座席設置
  • 費用として53億〜81億円

方法2のスタジアムイメージ
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さらに、サッカー専用スタジアムについても「今後、土地が必要とされるが継続的に検討していく」とされている。

 しかし、サポーターズ協議会としては、さらに質問を投げかけてきたが平塚市議会の議事を見る限り、現状は根本的な改修への動きはなく、今年度、約3,150万円の予算計上されメインスタンド上段立ち見席154席の座席化の追加と審判用のシャワー、控室の増設、照明設備の老朽化に伴う強度調査委託費となっている。
http://dream-shonan.info/?p=386

 昨年バックスタンドの老朽化の激しい座席4,819席を約1,500万円かけて国立競技場の座席を再利用するなど、平塚競技場に対して努力してもらっている部分もあるが、根本的な進展はしていない。

改修か専用スタジアム新設なのか?

 方法1.2にしても多額の費用がかかる。方法2では現状の課題は残されたままだ。方法1は、等々力競技場がこのパターンになるのだが、130億円もかけた場合、スタジアムを利用料が跳ね上がりクラブとしてもコスト増となる。さらに、数年かけて改修となれば2012年最終戦の野津田のようなプレハブ施設もたてるそれだけで数億円にもなる。

totoの交付金30億円は新設のみに適用されるが、例えば長野パルセイロの南長野スタジアムの建設費は79.7億円とも言われる。

(参考)1998年冬季オリンピックメイン会場の公園に建てられた球技専用スタジアム
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アウェーゴール裏以外は二階席があり屋根完備 
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同じ金額では無理だが「土地さえあれば」新設、専用スタジアムでもコスト面で変わらないのだ。

 湘南ベルマーレ大倉社長はJ2マガジン昇格記念号の中で「専用スタジアムができれば、入場料収入だけでなくグッズ収入、飲食店に絡む収入も増えることでおそらく20億を超えられる」という計画をたてており「専用スタジアムで、躍動感のある湘南スタイルでお客様を魅了し、ACLに出場する。そんな夢を描いている。」と語っている。(J2マガジン2014湘南ベルマーレJ1昇格記念号より)

 改修であれ専用スタジアム(以下専スタ)であれ同じ数十億円もの費用を投じるのであれば、これから新しい顧客を取り込むために、専スタで臨場感溢れる環境が必要と考えている。

全国で広まる専スタ建設

  2016年にガンバ大阪、2017年春には北九州、2018年京都府亀岡市、2019年セレッソ大阪キンチョウスタ大幅拡張、また具体的な計画は至っていないが広島、名古屋市、山形県、静岡市、そして相模原市も相模原駅北側の米軍跡地の活用案として専用スタ建設を市長が発言している。

 早く計画を具体化しなければtotoの助成金もなくなってしまうだろう。また、選手としても専スタのクラブで戦う方がモチベーションが上がるだろう。専スタが全国で普及してくれば、選手としても給料はもちろん設備面(環境や臨場感あるスタジアム)で選択をすると考えられる。

財政の課題は?

 とは言え、平塚市の財政状況厳しい。藤沢市、茅ケ崎市が人口増に対し減少傾向であり、専スタや改修どころではない。

 実際、本HPに対しSNSでも下記のような意見がある。
「ホームゲームによる、地元への経済効果が低いベルマーレでは、平塚市内でも税金を使ってのスタジアム改修や批判的な意見が多い。スタジアムが満員でも、経済効果は微細。税金の投入に関して、市民の賛同は得られないと感じる」

このような意見は現状の財政状況を見れば理解できるし平塚市以外との予算連携も現実的には難しい。

 もし、財政難の平塚市による大幅改修への検討が遅れるなら(1.2年での具体的な検討、予算化ができなければ)、もう一つの方向性として湘南地域特に県西地域のスポーツ振興の発展として捉え神奈川県の施策として声をあげていくべきではないか。
今でも高齢者を対象にした健康増進事業として県西地域にも予算がついてるがそれを拡大し県、或いは国の補助金でスポーツ施設を建設する働きかけも一つの手段ではないかと思う。

これからサポーターが考えること、できること

「お金もないし土地もない、何年先になるかわからない」
そう考えてしまうかもしれないが、商業的な観点でみると湘南地域は大きく変わろうとしている。開業して四年連続して来場者数を増やすテラスモール、ららぽーと海老名の開業、そして来年オープン予定のららぽーと平塚。
人の流れも圏央道開通や、湘南台から慶應湘南キャンパスまで延長される相鉄線(計画段階だがこの辺りは未開拓地が多い)。
湘南地域は土地もあるし人の流れも商業エリアも変わろうとしている。

先日、来春閉鎖される茅ケ崎ゴルフ場跡地の用地活用のパブコメがあり専スタの意見も呼びかけた。
http://dream-shonan.info/?p=402
残念ながら採用されなかったがこのような、土地再利用の検討は今後もされるだろう。

また、とあるホームタウンの経済界主要役員が、「専スタを建てる土地はあるが平塚から誘致移転してもいいものなのか」と話していたこともある。(後にこの土地の利用方法は別の施設に決定した)
 
長くなってしまったが土地や専スタの可能性はあるのだ。
とはいえ、専スタ新設は特に時間を要する。直近では平塚競技場の大幅改修を早急に求めつつ、長期的には専スタ新設に向けての動きを検討、議論していければと思う。

そこでサポーターが今後考え、行動できることをまとめてみた。

  1. 大幅改修の検討が遅れつつある平塚市の動きに注目(議会や市の会報誌)しつつ、大幅改修の早期着手に向かうよう意見する。平塚市以外のホームタウンにおいても平塚市の改修検討を協力、推進してもらうよう意見する。
  2. 県西地域にスポーツ振興の象徴となる専スタ建設へ意見を県や市に対し投書や、何らしかのアクションをする。

意見やアクションは投書なのかもしれないが、サポーターだけでなく地域全体を巻き込んだムーブメントとして起こせないとサポーターだけが望んでいることになってしまう。動き、ムーブメントに起こせれば行政だけでなく民間主導型のスタジアム複合型商業施設も可能性としてはある。
さらに、仮に小田原や藤沢、茅ケ崎など平塚以外の場所でスタジアム新設を検討するのであれば、これまでの平塚の貢献度、愛着、思いなど反対もあるだろう(署名のうちアウェーサポを除けば半数が平塚市民だ)。

それも含め今後、サポーターズ協議会としても議論進め、動きを活発化していくが、サポーター皆さんも積極的に関わってもらいたい。サポーターズ協議会が作成したスタジアム問題のHP「みんなでつくるスタジアム」(http://dream-shonan.info/)にはそういう希望をこめて「みんなでつくる」という名前をつけている。

最後にサポーターズ協議会としても本HPに情報発信し、Facebookページでも公開していく予定だ。まだ「いいね」をされてない方は是非、お願いしたい。
みんなでつくるスタジアムFacebookページ
https://facebook.com/shonanstadium

みんなでつくるスタジアムHP
http://dream-shonan.info/  (「平塚競技場 改修」で検索)